記憶の海辺――一つの同時代史本ダウンロード無料pdf
記憶の海辺――一つの同時代史
strong>本, 池内 紀
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によって 池内 紀
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あるドイツ文学者の、物語のようなホントウの話「一〇歳のときの朝鮮戦争から、カフカ訳を終えた六〇歳までをたどっている。おぼつかない自分の人生の軌跡をたどって何を実証しようとしたのだろう。念願としたのは私的な記録を通しての時代とのかかわりだった。」——あとがきより最初で最後の自伝的回想録。
記憶の海辺――一つの同時代史を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
上の「内容紹介」にもあるが、10歳から60歳までの自伝的回想。著者の本は読むのはこれで5冊目だが、私は本書が最も好きだ。帯には「物語のようなホントウの話」とあるように、運命的というか、ちょっと不思議な出会いがあって、もちろん偶然なんだけど、それが著者の研究と深く関わっているので、“必然”のように思えてしまう。個人的に最も興味深かったのは、1960年代後半のウイーン留学時代について書かれた「「プラハの春」」と「赤い靴と白い靴」の二つの章。俳優エルフリーデ・オトーとの出会いはたまたま見かけた広告から。加藤周一との出会いは、加藤の方からカール・クラウスについて知りたいと葉書が届く。フラウ・ブロノルドと呼ばれるオーストリア文学協会事務長には、奨学金のことで助けられる。ほかにも、阪急と巨人の日本シリーズ、教師をしていた頃の居眠り、公開講座の聴講生にかつての恋人の名を見つけた話など、著者の人となりが伺える話が多い。また、時に触れられる自身のライフスタイルに関する部分も楽しい。特に「おわりに」に集約されているが、「テレビ、パソコン、ケータイ」がないなど、現代の情報ツールと無縁な生活は、過剰な情報に溺れ、人生に本当の楽しさを見出せない人々の不幸な姿と比較した時、その充実ぶりは鮮やかだ。カール・クラウス、カフカ、ゲーテなど専門の話も面白いのだが、著者自身が選んで掲載した諷刺画にも惹かれるものが多い。なかでも、131ページの諷刺画の作者には驚かされる。図書館で借りて読んだものの、どうしても手元に置いておきたくなって買うことにした1冊。
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